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2017年1月31日 更新

~飛行機はなぜ飛ぶの?~ 787の魅力をご紹介します!翼の役目編

今回は、ボーイング787の現役パイロットが、飛行機が空を飛ぶ仕組みや翼の役目について語っています。

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飛行機はどうやって飛んでいるの?

飛行機が大空に舞い上がる秘密には2つのものが関係しています。

一つは翼にぶら下がっている“ジェットエンジン”です。中のファンブレードが回転することによって空気を吸い込み、猛烈な勢いで後方に吐き出すと、飛行機はその反動で前進して行きます。ジェットエンジンの能力は、この吐き出される空気の重さで表現します。

そして、もう一つ必要なものは“翼”です。飛行機が時速250キロ近いスピードを出すことにより、翼の上にも少なくとも時速250キロの空気(風)が流れることになります。翼の上面と下面の形状の違いから、上面の空気が若干速く流れます。これによって、翼に沿って流れる空気の圧力に差が生じます。この圧力の差の事を揚力と呼び、この力によって飛行機は浮くことができるのです。
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翼端渦と呼ばれるもの

では、飛行機が空を飛ぶために必要なアイテムの一つ"翼"ですが、この上向きの力「揚力」が生じるとき、主翼の先端では空気はどのように流れているのでしょうか。
航空用語辞典 改訂第9版(鳳文書林出版販売株式会社) (849)

via 航空用語辞典 改訂第9版(鳳文書林出版販売株式会社)
上図をご覧ください。主翼の先端に着目すると、主翼の下面と上面に圧力差が生じているために空気が翼端から円を描くように流れています。これは、「翼端渦(wingtip vortex)」と呼ばれています。

飛行機が飛ぶとそこには、必ずこのような翼端渦が発生します。この渦は想像以上に大きく、飛行中にこの渦に巻き込まれて突然飛行機が大きく傾いた事例も報告されているようです。また、空港の離着陸を管理する管制官は、この渦が収まる時間を考慮した上で飛行機に離着陸の許可を出すことになっています。

主にこの渦によって引き起こされる乱気流を「後方乱気流(wake turbulence)」といいますが、乾燥している空気を飛行中や雲中飛行をしている場合、この渦は非常に発見しづらく突然の大きな揺れにつながることもあります。こうした、突然の揺れに備えるためにも座席に座っているときは常にシートベルトを着用することが大切なんですね。

翼端渦をおさえる

この渦は後ろの飛行機に影響を及ぼすだけではありません。渦を発生させるということは、エネルギーを作り出している、逆に言えば飛行機はこの渦にエネルギーを奪われています。

この渦が作り出されることによって発生する、飛行機の飛行を妨げる力を誘導抗力といいます。つまり、この渦は後ろの飛行機に迷惑をかけるだけでなく、自機の飛行の抵抗になる=燃料消費の増加にもつながっているのです。

ということで、航空機の設計担当者はこの渦を抑えるために、主翼の先端の形状にさまざまな工夫を施しました。
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中央の「ウイットコム氏の考案によるもの」を見たことがある、という方も多いのではないでしょうか。これは「ウイングレット(winglet)」と呼ばれる形状で、あの有名なボーイング747-400型機(通称ジャンボジェット:2011年3月退役)にも採用されていました。

ボーイング787型機では…

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ボーイング787型機では、「レイクドウイングチップ(raked wingtip)」と呼ばれるこのような形状のものが採用されました。

実は、この翼端の形状は一つの理論的に決まった理想のものがあるわけではないのです。航空機の設計担当者が、空気力学、構造強度、重量増加による燃費増、空港の誘導路や駐機場の広さ、などを考慮して設計したものを、コンピュータシミュレーションや風洞実験(模型を作って実際に風をあてる実験)をくりかえして決定されるのです。

さまざまな形状の翼端が考案されてきましたが、現在の旅客機の翼端はこのようななめらかなレイクドウイングチップが主流になりつつあり、弊社が2019年に導入予定のエアバスA350XWB型機の翼端もこのような形状になっています。

ちなみに、このボーイング787型機に装備されているレイクドウイングチップ、ボーイング社とNASA(アメリカ航空宇宙局)の実験によると、翼端渦による抵抗を5.5%ほど低減させているそうです。787は燃料消費が少なくエコな飛行機と言われていますが、こんな小さなところにも工夫があったのですね。

いかがでしたか?ぜひ、次回飛行機に乗る機会がありましたら、翼の端に注目してみてくださいね!
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翼ノート編集部 | 1,249 view

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翼ノート編集部 翼ノート編集部